矯正イメージ

歯並びが気になってはいるけれど、今更矯正治療には踏み込めないと思っている人は多いでしょう。
歯並びを気にする人のほとんどは、審美性つまり歯並びによる見た目の悪さを気にして悩んでいるはずです。もちろん歯並びの悪さには噛み合わせなど大きな問題を抱えています。
ただ、患者さんの目から見れば長年付き合ってきた噛み合わせですのでさほど違和感は感じないものの、毎日鏡で見る自分の口元はとても気になるものです。

そこで、他人から見える部分だけの歯並びを改善する部分矯正という手法があります。
ここでは、部分矯正についてわかりやすく解説しましょう。

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部分矯正の適応症とは

前歯の歯並びだけを治す部分矯正は、全体の矯正に比べると適応できるケースが限られています。
そこで、どのようなケースに向いているのか、またどんなケースには向いていないのかを紹介します。

部分矯正に適しているケース

そもそも奥歯は比較的よく噛みあっていて前歯のみに噛み合わせの異常が観られるケースに適しています。

  • 正中離開・・・前歯の真ん中に隙間があるケース
  • 軽度の歯列不正・・・歯並びの凸凹が比較的軽いケース

部分矯正に適していないケース

全体的に噛み合わせまでずれており、歯の位置や捻れ具合の強い場合にはすべての歯を動かさなければきちんと並べることができません。
ただし、程度によっては部分矯正で可能なケースもあります。

  • 上顎前突・・・上の前歯が前方に出すぎているいわゆる出っ歯
  • 下顎前突・・・下の前歯が上の前歯より前に出ているいわゆる受け口
  • 開咬・・・上下の前歯が噛み合わず上下の間に隙間が空いている状態
  • 交差咬合・・・上の前歯と下の前歯が前後して噛み合っている状態
  • 重度の歯列不正・・・八重歯など凸凹の状態が重いケース

部分矯正の治療法と治療期間や費用

部分矯正には、その程度や症例に合わせていくつかの方法がありますので紹介します。

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ブラケット矯正

前歯が凸凹になっているケースでは、それぞれの歯にブラケットという小さな装置を接着してワイヤーを通して動かしていくブラケット矯正を行います。
前歯だけを動かすので時にはスペースが足りなくなるため、抜歯や歯の側面を少し削ってスペースを確保することもあります。

  • 治療期間:半年~2年程度
  • 費用の目安:20~40万円程度

舌側矯正

ブラケット矯正は表から装置が見えますが、舌側矯正は歯の裏側に装置を付けることで表からは見えないようにする方法です。
特に大人の矯正では、仕事などの理由で他人に知られず矯正をしたいという希望も増えています。

表側からはまったくわからないというメリットがある反面、舌に装置が触るため違和感が強く症例が限られるというデメリットがあります。
また、舌側矯正は表側矯正と比較するとより高度なテクニックが必要なため、治療を行う歯科医師のデータをしっかり把握して信頼できる先生に依頼することが大切です。

  • 治療期間:半年~2年程度
  • 費用の目安:40~60万円

マウスピース矯正

近年人気が高まっているのがマウスピース矯正です。
自分の都合のいい時に専用の透明なマウスピースを装着して歯を動かします。
着脱式なので外すことができるという大きなメリットがあります。そのため他人に知られず矯正をしたいという人に適した治療法といえます。
隙っ歯や軽い凸凹などに適しています。
最近は気軽にできる矯正治療として、幅広い年代の社会人や特に女性に人気のある方法です。

  • 治療期間:半年~1年程度
  • 費用の目安:30~50万円

インプラント矯正

歯を横方向だけでなく上下や斜めなど違う方向に動かしたいときに有効な矯正方法です。
矯正のための小さなインプラントを埋め込み、ブラケット矯正と併用して歯を動かしていきます。
特に出っ歯や過蓋咬合(噛み合わせが上の前歯に深く入り込んでいるケース)などに適しています。

  • 治療期間:半年~2年程度
  • 費用の目安:20~50万円程度(インプラント費用含む)

ハイブリッド矯正

前歯の歯並びをきれいにするだけでなく、歯そのものもきれいにしたい人にオススメの治療法です。
これは、前歯の位置を矯正治療で修正した後に歯を削り、被せ物によって歯の色や形も修正してより美しい見た目を追求する方法といえます。
歯並びが悪い人は虫歯にもなりやすいため、既に大きく治療をした経験のある人や被せ物が入っている人は検討するといいでしょう。

  • 治療期間:半年~1年程度
  • 費用の目安:矯正治療費15~40万円+被せ物の費用8~10万円/本程度×被せる本数

部分矯正のメリットとデメリット

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部分矯正にはいくつかのメリットとデメリットがあります。
しっかり理解して治療を検討するのが賢明です。

メリット

  • 治療期間が短くてすむ(全体矯正の半分~3分の2程度の時間でできる)
  • 治療の費用が全体の治療より安くできる
  • 治療の違和感が少なくて済む
  • 気になっている部分だけを治療することができる

デメリット

  • 全体の噛み合わせは改善しない
  • 不必要な隙間が残ってしまうことがある
  • 場合によっては歯を削ったり抜歯が必要になることがある

まとめ

部分矯正をすると、最も気になっている部分だけの歯並びを改善することができます。
比較的短期間でできることや安くて済むなどのメリットがありますが、実は虫歯になりにくくなるという点でもおすすめです。

それぞれの状態に合わせた治療法がありますので、信頼できる歯科医院に相談してみるといいでしょう。

[written by Kagerou Works]