一言で歯並びが悪いと言ってもいろいろなタイプのものがあります。

ここでは歯並びがきれいでも噛み合わせが悪いものも含めて、主な歯列不正について紹介してみたいと思います。

健康な歯列

歯列不正の種類について

歯列不正にはいろいろやタイプがあります。一言で歯列不正といっても、ただ歯がきれいに並んでいないだけではなく、並び方はきれいでも噛み合わせが悪い状態も含まれています。主なものを挙げてみましょう。

1つ目は「叢生(そうせい)」というタイプです。これは、歯の並び方がガタガタで重なったり飛び出したり傾いたりしている状態です。「叢」という字は「くさむら」とも読み、雑草が乱雑に生えている状態からいい、八重歯などもこれに含まれます。

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2つ目は「上顎前突」というタイプです。一般的には出っ歯とよばれる状態で、上の歯が前に突出しています。下の歯が上の歯の中に入り込みすぎるため上顎に比べて下顎が奥に引っ込む形になり、顔のバランスが悪くなります。上顎前突になる原因は、口呼吸や指しゃぶりなどの癖の他、遺伝的な顎や歯の大きさなども関係してきます。
また、上顎前突では、気づかないうちに口が開いていることが多いようです。そうすると、歯や口の中が乾燥するため虫歯や歯周病のリスクが高くなります。中には、ちょうど唇がひっかるラインで歯が白濁(初期の虫歯)になっている人もいます。

3つ目は、「下顎前突」というタイプです。うけ口と呼ばれる状態で、上顎前突とは逆に下の歯が上の歯より前に出てしまっています。このタイプでも、前歯で物を噛み切ることが難しくなります。また、下顎が上顎より大きくなるので特有の顔の形になります。前にも出したアントニオ猪木さんがそのタイプですね。上下の前歯に隙間ができるため、発音がうまくいかず「さ行」などがはっきりと発音できない場合が多いです。
下顎前突の場合、上顎の成長を促す装置を入れたり、下の歯を抜いてスペースを作り歯を奥へ並べ直すことになります。ただし、重度の下顎前突では、下顎の骨を部分的に切り取り小さくする必要があります。この場合は、入院施設のある病院での処置になります。

4つ目は「開咬(かいこう)」というタイプです。これは、奥歯は噛み合っているのに前歯の噛み合わせが開いていて隙間がある状態です。前歯が噛み合わないため、うまく物を噛み切れないだけでなく、発音に問題があり「さ行」などの前歯をいったん閉じて発音する言葉がうまく言えません。開咬の原因は、主に指しゃぶりや舌を咬む癖などが挙げられます。歯を抜いてスペースを作り、並べ直しをする必要があります。

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5つ目は「空隙歯列」です。すきっ歯などとも言いますね。空隙とは隙間のことで、歯と歯の間が空いている状態です。顎と歯のサイズのアンバランスが原因のことが多いですが、何らかの原因で歯の数が足りなくて隙間が開いてしまうこともあります。
空隙があること自体はそれほど大きな問題ではありませんが、発音の時に空気が漏れたり審美的に気になるなどの不都合もありますので、矯正を希望する人がいます。空隙は、歯並び自体を歯列矯正治療によって修正してなくす方法と、ラミネートべニアのように被せ物によって補修する方法もあります。

これらの歯列不正のタイプは、必ずしも1つではなくいくつかが重なってみられることがあります。正しい診断を専門医に受けることが大切です。